FT-817ファイナル考

FT-817のファイナル、ドライブ段がなぜ飛びやすいか。
原因は以下に大別できるようです。
1.電源端子への静電気混入
2.アンテナ端子からの静電気混入
3.自己発振
4.未接続5W送信

それぞれの原因の詳細について考えます。
1.電源端子への静電気混入
電源端子はファイナルのドレインに接続されています。
13.8Vに接続されているときはよいのですが、電源ケーブルがついた状態で開放端の場合、グランドに対して30V以上の電位差があると素子が破壊されて しまいます。これは非常に低い電圧であり、これによる故障は多いことが考えられます。突然死と呼ばれている場合にはこれが該当するのではないでしょうか。
ドライブ段もドレインが電源端子に接続されています。ドライブ段が飛ぶ原因にもなりえます。

2.アンテナ端子からの静電気混入
アンテナ端子は直接ファイナルには接続されていませんが、LやCは接続されており、静電気混入の際にはファイナルまで到達することが考えられます。ドライブ段には直接は到達しないと思われます。

3.素子の表面のプラスチックが割れている事例を見ました。自己発振すると異常電流が流れてファイナルが飛ぶようです。自己発振に入るモードは不明です。

4.アンテナ端子に何も接続せずに5W送信すると飛ぶようですが、要はトランジスタのドレイン電圧が30Vを超えるとアウトと思われます。一度送信してしまったことがありますが、そのときは飛びませんでした。一発アウトということはないようです。

対策をそれぞれ考えます。
1.電源端子からの混入に対しては、ファイナル交換のページでも対策しているように、非送信時にFETで電源を遮断しました。ただドライブ段へは対策が届いていないため、30V程度のツェナーダイオードはFETの前にも入れる必要があります。

2.アンテナ端子からの静電気混入
後部のM型コネクタについては、電源断時にはリレーで切り離されています。できれば常時こちらを使用すると対策となりえます。アンテナを調整、取り付け、取り外しの時には電源を切手から行うことにします。前面BNCコネクタには50Ωダミーロードを接続しておきます。

3.自己発振は設計上の問題で如何ともしがたいですが、海外のほうが優秀で、この自己発振対策を行っている事例がたくさん見られます。ひとつはドライバ出 力からファイナル入力にいたる経路の位相を逆転する方法です。もうひとつはファイナル入力部に抵抗を入れる方法です。以下のサイトに方法が記載されていま した。

http://www.mods.dk/mod/_1/4142_SV8YM_FT817_final_amp_mod.pdf

この画像を見ますとすでに前者の手法つまりドライバ出力からファイナル入力にいたる同軸ケーブルの位相が逆転されています。また、電解コンデンサの両端に 10kΩを取り付けていて、電源端子のフロート対策もしているように見られます。さらに後者の対策、6.8Ω*2の取り付けを行えばかなりの防止策にはな ると思います。
私は以上の対策をすべて盛り込み、常時5W出力状態で運用を続けています。もし次回ファイナルが飛ぶことがあればこちらにて報告いたします。(2013/6現在)

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